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雲井雅人の「小言ばっかり」

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2013/10/02(水)  弟子のコンサート
サックスの演奏会って、近ごろすごく多いよね。その中でも、自分の弟子関係のコンサートが毎月1回以上は開かれているような気がする。孫弟子も含めると、かなりの頻度になる。30年も教えていると、こんなことになってしまうのだな。

その全部に顔を出すわけにはいかないが、たまには行くこともある。でも、喜んで行くという感じじゃなく、恐る恐るという感じだ。うまく行っていない演奏を聴くと、本当に本当に心が痛いから。居ても立ってもいられず、周りの人に謝りたくなる。その場から脱出したくなる。上手なのを聴いても、感動というよりホッと安心するという感じだ。自分も、大室先生に、そのような心配をかけていたことは間違いないが。

今日聴きに行った演奏会では、珍しいことに、ときどきとても良い表現があって、落ち着いて座っていることができた。サックスがピアニストの音色を邪魔しないというのが、本当に珍しい。アンコールの美しい曲を聴いていて、哀しい気分になった。「悲しい」じゃなく「哀しい」メロディーの中に、自分の人生の行く末を思ってしまった。

歳を取って足が弱り、息も弱くなって楽器が吹けなくなってしまった頃にも、こうして弟子や孫弟子の演奏会に顔を出し、フガフガ言いながら、聞かれもしない講釈を垂れている自分が見えました。その頃のサックスのレパートリーは刺激が強すぎて、もう共感できなくなっているかもしれないと思ったりもした。その会場にも、きっと中野さんが来ているだろうと思った。今の若手が、ベテランになっている頃です。
どうか皆さん、この先もきれいな音で吹いてください。


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