2007/07/28(土)
ピアノを弾くということ。
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花岡千春著「ピアノを弾くということ。」 フィルムアート社
音楽大学でピアノを学んだ学生が全員ソリストになるわけではない。 伴奏や教育の現場でがんばっている人が大多数なのだ。
ピアニストのリアルな仕事のど真ん中にいる著者は、大所高所から降りてきてくれて、本音で語りかける。 この本のどのページを開いても、必ずハッとさせられる言葉がある、耳が痛くなる言葉がある。 音楽大学の内部告発とも取れる部分もある。 また、一人の音楽家としての謙虚な自戒もある。 いずれも、深い教養に裏打ちされた説得力のある文章なのだ。
引用したい文章は山ほどあるが、冒頭の部分が本書の性格をはっきりと言い表している。
「すでにある程度の時間、ピアノを勉強してきた人たちは、それがただ楽しいだけの作業ではないことを感じていると思います。ピアノあるいは音楽で身を立てることがなかなか大変だということにも、皆さんはもちろん気付いているはずです。」
僕は、これから自分が迷うようなことがあったとき、きっとこの本を何度も開くだろう。
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