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西尾貴浩のサックス吹きのための「フィットネス講座」

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2003/08/05(火)  少年時代 「僕はなまら突っ走る!」  オオイチモンジ
明日のための山はいつもそこにあった!

  世界に1万種類はいると言われている『蝶』。チョウチョ。
この世の中に、彼らほど色彩感にあふれた生き物はいないと思う。
モンシロチョウなどは別として、なぜあんなに いろいろな色がまざりあい、
なぜあんな複雑な模様になったのか、僕には理解できない。
有名所で、クジャクチョウを始めコムラサキ、コヒオドシ、アゲハ、人類には生み出せない色をしている。
僕は【神】を感じた! もう見事としかいいようがない!
僕はいかなる時も『蝶』を目撃したら、かならず捕まえようと試みた。どこまででも追いかけて行った。
家にいるときは、虫とり網をいつも手に届く場所に常備しておき、家の前の花畑に蝶が近寄ってきたら、
「アゲハだ!」と言って、ごはんを食べている途中でもとびだして捕まえに行っていた。
あの魅力は何だったんだろう?蝶を見た瞬間、スイッチがはいって、どこまでも追いかけて行った。

『蝶』の捕り方としては、種類によって飛び方が違うので、それを熟知していないと難しい。
ゆらゆらと飛ぶのもいるし、ピャーッとすぐいなくなるのもいて、なかなか難しい。
モンシロチョウなんかは、新聞を読みながらでも捕れるくらい簡単だ。飛び方が単純だからだ。
サクッと網に入ったら、羽根を傷付けないように取り出し、クキッと気絶させ、
家で作って持って行った三角袋にいれ、ベルトに装着した専用ケースにいれる。
『蝶』は飼うというより標本にする。今考えると少し可愛そうな気もするが、どっかで
鳥などに一瞬で食べられるよりは・・・う〜〜ん・・
少しでも羽根に傷がつくと、値打ちがなくなる。捕まえた時に、もうぼろぼろで逃がしてあげる時もある。

僕が今まで捕まえた中で、一番うれしかった『蝶』!それは「オオイチモンジ」という蝶だ!
かなり珍しい『蝶』で、めったに見る事はできない。
万が一出会ったとしても、子供の捕獲テクニックを超越したトリッキーな飛び方をしていて、
飛んでいるハエを軽く空中取りできた僕にも手におえなかった。
珍しい『蝶』に出会うと、緊張して本来の動きが鈍る。手が震える時さえある。泣きそうになる。
そんな幻の『蝶』との出会いはある日突然やってきた!いつものように山で昆虫採集をしてると、
水溜りで水を吸っている『蝶』の群れを見つけた。「おぉぉっと!」と思い近づいていくと、
なななんと、そこには図鑑でしか見た事が無かった「オオイチモンジ」の群れだったのだ!
僕はあまりの衝撃と彼らのあまりの美しさに足がすくみ、しばらく動く事ができなかった。
がしかし、ここは落ち着かなければと思い、ザザン、ザン、ザザンッと網を構えた!
「相手は5匹なんとかなる!」そう思って、突進しようとした時、あっという間にいなくなってしまった。
「はっ早い!無理か。」と僕は半べそになった。「いやまてよ……奴は必ず戻ってくる。」
そう。『蝶』には必ず同じ場所に戻ってくる習性があるのだ!僕はひたすらじっと待った。
「…来たッ!」そう思った瞬間、僕は無我夢中で網を振り回した!
スーパートリッキーな動きに何度となく翻弄されながら、僕は奇跡的に2匹の捕獲に成功した!!

あの時の喜びは、友達の家でドンキーコングを全面クリアした時の百万倍くらいうれしかった!!
幼い頃の僕にとって、何よりの宝物になった。
今でもちょっと珍しい『蝶』を見ると、すぐ反応してしまう。できれば捕まえたいくらいだ。

『蝶』の寿命は短い…いつも精一杯羽ばたいている。いったいどんな気持ちで飛んでいるのであろう?
雨の日はどこに潜んでいるのであろう?人間の事はどう思っているのであろう?
僕みたいなガキに捕まってどんなにくやしかっただろう。

何はともあれ、こんなに緑の森と花畑の似合う昆虫はいない。
そんな『蝶』は、幼い僕に命のはかなさと大切さを教えてくれた……
今現在も実家の標本箱には、2匹の「オオイチモンジ」が少年の夢と共に眠っている……

                            つづく



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