[トップページ] [他の月を見る]


西尾貴浩のサックス吹きのための「フィットネス講座」

( 2003/08 ← 2003/07 → 2003/06 )


2003/07/15(火)  少年時代「僕はなまら突っ走る」 クワガタ
そこに昆虫がいる限り・・僕は突っ走った…

夏休み半ば。待ちに待った日が来た!
クワガタ捕りの日だ!父に前からお願いし、車で山奥へ向かう。
自転車では無理な距離の山奥だ。熊も出没する。
クワガタとはまさに、 子供の夢をのせた昆虫だった。
家の近くでも外灯の下などで5〜6匹は捕れたのだか、
僕には何十匹単位でとれる秘密の場所があった。
虫カゴには入りきらないのでダンボール箱に小さな穴を沢山空け、もっていった。
多いときは百匹以上とれた。 あたりに 牧場が広がるジャリ道を奥に5〜6キロ
はいったところに秘密の場所はあった。いとこのお兄ちゃんに教えてもらった。
いくつかのバリ線をくぐりぬけ、いっぽんの大きなクヌギの木にたどりつく。
樹液たっぷりで、クワガタがいそうなときはもうにおいでわかる。「いるいる!」
まず手が届く範囲で 密をすっているクワガタをどんどん捕る。
だいたいいなくなると、軽くぺしっと木を叩く 。すると上の方にくっついていたのが
パラパラとおちてくる。それをどんどんダンボールに入れていく。
叩く強さを少しずつ強くしていき、そのうち木を蹴っ飛ばす。
この時はまるで雨のようにクワガタがふってくる。
あまりいっぺんに落とすと全部拾うのが間に合わないので少しずつおとすのがポイントだ。
最後の方はこれでもかというほど蹴って木を揺らす。
僕は雨が降ろうが、蚊に刺されようが、牛糞を踏もうが、お構いなしで、拾いまくる。
ダンボールの中はもうすごい状態で夢のような光景だ!
そこまで捕るかというくらいクワガタだらけだ! 
もうセンプレ涙目状態の僕にとって、幸せの一時だった……

ここ十数年前から、地球温暖化に伴い、北海道にもカブトムシが現れた。
最初は信じられない出来事で、新たな夢を感じたが、クワガタの数が減ってしまった。
僕らの心を宿らせた木もどんどん切り倒され、秘密の場所もなくなってしまった。

2年ほど前、ある夜に、とっさに走りたくなり、近所をランニングしていると、
外灯の下でクワガタを探している少年達に出会った。
とても楽しそうに走りまわっていた。
僕もつい一緒になって探し、見つけたクワガタを一人の少年にあげた。
始めは異常に警戒していた少年は、照れくさそうに「ありがとう」と一言。
そして本当にうれしそうな顔をした。僕もうれしかった。
かつて僕がそうだったように、「プレ○テ2」になんか負けずクワガタ捕りが子供達の
『ドリーム』であり続けることを信じてやまない。
そして秘密の場所は、きっと何処かにまだあることを信じている。
    
                      つづく







2003/07/03(木)  少年時代『僕はなまら突っ走る』 トノサマバッタ
北海道に梅雨はない。いつのまにか夏がやってくる。昆虫採集も順調だ。

「今日は空気が乾いているな。トノサマバッタかな…」
と決定し,僕はある場所へ向かった。
トノサマバッタは草地や河原の、ところどころ地面がむきだしになっているような
ところに、生息している。それにピッタリの場所が、キリギリスの原っぱから
西へ100メートルほど行ったところにあった。通称「原くんの家の前の空き地」!!
北海道ではよく「山口商店前の原っぱ」とか「自衛隊官舎のところの草むら」
というように人の家などを目印にする事が多かった。バス停の名前すらある。
(僕だけかも。というか他の土地でも当たり前かな?)

トノサマバッタというと鹿児島などで何千万匹と異常発生し、農作物などを
食い尽くしてしまったりと害虫としても有名だが、そんなことはつゆしらず、
僕はあのデカさと,ゆうに50メートルは軽く飛ぶ華麗さ,
そしてあのパタパタパタ、という音に魅了された。
トノサマバッタはあるていどの忍耐力があればキリギリスよりは簡単にとれる。
が、しかし見つけるのは大変だ。一応、ジリジリ・・とは鳴くのだが、
他のバッタと似ているため、鳴き声では発見には至らない。

これが僕のあみだした捕獲方法だ!
とにかくその辺をうろうろ歩き回る。虫取り網を逆さまに持ち、振り回しながら…
そのうちそれに驚いた色んな虫達が逃げ回る。これは凄い。
そんな中…・「パタパタパタ・・」  「出たな!!」
その後はまるでストーカーのように着地地点を追い掛け回す。
始めの元気のいい時は遥か遠くまで飛んでってしまい、体力勝負だ!
空き地を通り越し、近くのスーパの駐車場まで追いかけた事もある。
ひたすら追い掛け回し、疲れた所を虫取り網でサクッと捕まえる。
その時の僕はまるで職人のようだった。大物はゆうに6pを超えた。
彼らは草食のため噛み付きはしないが、口から変な液体をいっぱい出す。
無臭なので気にすることはないが、気持ちが悪い…
そんなことを1日やっていると相当な距離を走りまわる事になる。
でも僕にとっては最高に楽しい一時であった。

しかし、それから数年後、その場所は公共施設建設のため突然なくなってしまった。
ある日虫取り網を持って行ったら、草が全部刈られていて、呆然と立ち尽くした事を思い出す。
一番気に入っていた場所だった・・
トノサマバッタ以外にもあらゆる虫が捕れた。
僕以外にも多くの少年達が悲しんだ。ある意味、事件だった。

昨年の夏、現在の家の前でトノサマバッタを見つけた。
暑さで弱っていたらしく、つい追い掛け回し素手で捕まえてしまった。
・・何も変わっていなかった。持った感触はあの時のままだ!
僕はふっと、「原くんの家の前の空き地」を思い出した。
たとえ、飲みすぎて昨日の記憶がなくなっても、
あの時の、あの場所。僕は一生忘れない……
                     つづく



( 2003/08 ← 2003/07 → 2003/06 )


[ 管理者:管理者 ]


- CGI-Island -

Thanks to CGI-StaTion & 手作りCandy