2004/09/08(水)
噴火合宿
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先日、浅間山のふもとで「雲井門下合宿」というのをおこなった。 ついたち夜、そこで例の噴火を体験した。
今までに聞いたこともない恐ろしい爆発音、壁と天井が激しく振動する。 まず最初に考えたのは、すぐそばに落雷したのじゃないかということ。しかし、その後の長く続く振動がそれを打ち消した。 次に考えたのは、地震。でも、床は揺れていないのだ。これが噴火に伴う「空振」(爆発や火山の噴火によって起こる空気の振動)であると思い当たったのは、その振動がおさまったころだった。 そういえば、その日の昼過ぎ、何か焦げ臭いようなにおいがしていたのだった。
さっそく避難準備を開始する。荷物をまとめたり、避難経路を確認したり。テレビや地区の災害用放送に注意しつつ、着の身着のままで就寝した。 結局大事には至らず、翌日からの合宿の全日程も滞りなく遂行できた。
「大自然の脅威を感じた」などと言うと月並みな表現だが、一瞬「もうダメか」と思ったことは事実だ。 噴火というのは、地球が生きていることを我々に思い知らせてくれる。
こんどカルテットでCDの録音をするのだが、その中にアンドリュー・スティラー作曲「チェンバー・シンフォニー」という作品を収録する予定だ。 この作品は、火山にまつわる話がきっかけで書かれた。活動中の火山で実地研究をしていた火山学者が、噴火におそわれて遭難するという事件が、かつてあった。 その最後の無線通信の記録は「Vancouver, Vancouver, This is it !」というものだった。「バンクーバー、バンクーバー」と無線の基地局に呼びかけたあと、「これだー!」と言って、交信は断たれた。 作曲家はその学者魂にいたく感動して、曲を書き上げたのだった。
今回の噴火騒ぎで、このストーリーにリアリティーを感じることができるようになった。
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