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雲井雅人の「小言ばっかり」

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2004/12/29(水)  冬期受験講習会
音大の冬期受験講習会が終了しました。
5日間で46回のレッスン!
短期間にしたレッスン回数としては自己新記録です。大変だった。
でも、何十回フェルリングやクレストンを聴いても吹いても、飽きることがなかった。
多分、受講生の皆さんの「たくさんのことを吸収したい!」という気持ちに引っ張られて、エネルギーが持ったのだと思います。

受験生の皆さんはこれからが大変でしょうけど、本番ではコンディションを整えて悔いのない演奏をしていただきたい。
一つ申し上げたいのは、「音楽が好きだという気持ちを枯らさないで」ということです。
エチュードやスケールを一生懸命練習するのは当然のことなのですが、そのことだけをしていると、往々にしてつまらない細部のことのみに気持ちをとらわれて、苦しげな演奏になってしまうのです。

自分が好きなメロディー(クラシックじゃなくても良い)を、ウォーミングアップのときに伸び伸びと吹いてみるだけでも、心が潤うのではないかな。
その気持ちのまま、エチュードの中の易しいところを吹いてみると、案外楽しくなるかもしれません。


2004/12/26(日)  サックス・フェスティバル
サックス・フェスティバルが終わって、今年の「演奏」に関する仕事はすべて終わった。
何という解放感!
心が晴れ晴れして、めずらしく体調がいい。
「練習しなくっちゃ」とか「勉強しなきゃ」というのが、普段いかに自分に重くのしかかっているかを実感する今日この頃。
今年は、生まれて初めてぐらい忙しかったような気がする(ノースウエスタン大学に留学していたころ以来かも。あのころも必死だった)。
障害物レースを走るように、一年が過ぎた感じだ。

最近のフェスティバルは企画が良くて、面白いイベントになってきている。
しばらく前までのこの催しは、音大生のサックスオケの発表会みたいだったのが、近ごろでは逆にそのコーナーがちょっとイケテナイ感じになってきたかも。
これはこれで重要なんだけどね。

僕自身の収穫は、林田選手の演奏(石井真木のアルタネーション)が聴けたことだった。
演奏至難でめったに取り上げられるチャンスのない作品であるが、その本来あるべき姿を再現した演奏だったように思う。マリンバ奏者も実に良かった。作曲者がすでに没しているのが残念だ。ぜひ彼らの演奏を聴いてもらいたかった。

作品の魅力もさることながら、とても嬉しかったのは彼のサックスの「音」であった。
どんなピアニッシモでも、会場のすみずみにまで響きが浸透し、またフォルティッシモではつぶれて響きが止まってしまうようなことがない。
どのような場面でも、共演したマリンバにかき消されることもなく、互いの魅力を引き立て合っていた。
昔は僕の生徒だったんだし、今は一緒にアンサンブルもしていて、その実力は重々分かってはいるのだが、今回改めて感服した。
同じカルテットの仲間を褒めるなんて変に思う人もいるかもしれないが、良いものは良いのでありますよ。

僕は自分の演奏をコンサートホールの客席で聴くことはできない(当たり前だ。幽体離脱でもしない限りは)。録音で聴いたって、本当のところは分からない。
だから、僕の音もあんなふうに聞こえていたらいいなぁ、という気持ちで彼の演奏を聴いていた。
あんな音で、いろんなサックスの曲を聴いてみたいと思った。

こういうことがあると、自分も練習する気が湧いてくる。
自分も負けずにがんばりたいと思う。


2004/12/20(月)  自転車買った
僕も自転車を買いました。
今まで10年間乗っていたのが壊れてしまったので(変速のギアがイカレタ)。
新しいのは、「無印良品」のです。
林田選手の「ファイヤー号」と違って地味です。

実は僕は、「無印良品」ファンだったりします。
あの店内の雰囲気というものが好きで、特に買いたいものが無くても、良くぶらついてます。

学生のころ、何となくヒッピーっぽい感じにあこがれていたんだけど(ヒッピーはまだ死語じゃないよね)、なぜかその気持ちがよみがえるんだよね。
理由は分かりません。


2004/12/13(月)  恥ずかしながら
きのう、亜細亜大学の吹奏楽団の定期演奏会で、棒を振ってしまった。
あー、ハズカシ。

バーンズ:詩的間奏曲
ハンソン:メリー・マウント
リード:アルメニアン・ダンス part 1
ハチャトゥリアン:ガイーヌ

どの曲も「なんていい曲なんだ!」とか「これを書いた作曲家はやっぱり天才だ!」とか思いながら振っていた。
棒のテクニックなんかないんだから、その気持ち一本でやっていくしかない。
僕のその気持ちを、楽団員が受け止めてくれていたのが嬉しかった。

特に、「メリー・マウント」というのは名曲です。
この曲に出会えて幸せだった。ホントにいい曲です。
また、バーンズの作品は、練習でも本番でも楽しく充実した音楽的体験ができた。
「良い趣味」というものを追求して行くと、自然と名演奏になるように作られていると思った。

あとの2曲は、アルメニアつながりということで、その情の濃さによって、普段よどんでいた血が活性化され、元気になることができたような感じだ。
四の五の言わずに、自分の中の原始的なところを刺激してくるというか。

(錯覚かもしれないが)ご来場のお客様方には大変喜んでいただけたようで、「三日やったらやめられない」といわれるいくつかの職業のうちに、指揮者というのも確か入っていたと思うが、その気持ちが分かったような気がした。

楽器も持たずに客席に背を向け、楽団員に向かって百面相をしながら腕をグルグル振り回すなんてのは、去年の今ごろ予想もしていないことだった。
人生は何が起きるか分からないものだなー。
まだ照れくささは抜けないけど。

棒振りを引き受けた理由は、「なぜ、指揮者によって楽団の音ががらっと変わるのだろう?」という疑問を持ったからだった。
特別な指示を出すわけでもないのに、なぜ学生指揮者が振るときと僕が振るときでは、音が変わるのだろう。
プロのオケ中で吹いていたときもしばしば同様なことを感じたが、当たり前といえば当たり前、不思議といえば不思議なことだ。
その疑問はまだ解けない。

僕が楽しく吹奏楽をやっていたのは高校の時までで、音楽大学に入ってからは楽しいというより、緊張感、ときには義務感でいっぱいだったような気がする。
仕事でブラスにのるときも、なぜかものすごく疲れちゃって、「早く終わりたい」という気持ちになることが多かった。
なんでだろー? ホントになんでだろー?

亜細亜大学で棒を振っていると、長い間忘れていた「楽しさ」を思い出すのだ。
だけど、「ほんとに吹奏楽が好きなら、音大に行くより一般大学の吹奏楽団のほうが充実した経験ができるのではないだろーか」、と僕が言うのは語弊があるね。
「音大のブラスを、チョー楽しく充実したものにしよう!」というのが、音大の教員である僕が本来言うべきことだろうから。

「音大生でございます。プロでございます」と言ったって、最初はみんなアマチュアだった。
僕自身も、アマチュアのころの、訳も分からず音楽がチョー大好きだった気持ちが死んでしまってはヤバイと思う。実際ときどき、かなりヤバイときもある。

昨日のコンサートは、その「チョー大好き」な気持ちを、揺り起こした。


2004/12/10(金)  ようやく発売
CD「雲井雅人、あふれる歌へのオマージュ」、ようやく発売になる模様です。
お待たせしてすみませんでした。
詳細は下記のページへ。

http://www.alquimista-mr.com/frame/records.htm


2004/12/04(土)  シューベルトCD発売遅れています
■雲井雅人、あふれる歌へのオマージュ
 Saxophone meets Franz SCHUBERT
  アルペジョーネ・ソナタ イ短調 D-821
  物語・冬の旅 〜 アルト・サクソフォーン、ピアノとナレーションのために

上記のCDの発売が遅れておりますことを、お詫びいたします。
多分、僕の原稿執筆が遅れたせいだと思います。
お待ちいただいている皆さま、大変申し訳ありません。


2004/12/03(金)  王子ホールのコンサート
雲カルの今年の仕事は終わってしまいました。

11/30王子ホールのコンサートは、初めちょっと心配したのですが、お陰様で客席もほぼ満席となりました。
お客様が本当に楽しんでくださったことが良く伝わってきて、演奏しながら嬉しくなりました。
ありがとうございました。

また、終演後のお茶会では、皆様がCDをいっぱい買ってくださって感謝しています。
今まで経験したことがないほど、サインをたくさんしました。

王子ホールの楽屋は、あのホールの格にふさわしい落ち着いた品のいい部屋でした。
楽屋の通路には、綺羅星のごとき世界的アーティストの写真とサインがたくさん飾ってありました。
僕の大好きな、メゾ・ソプラノのテレサ・ベルガンサのものもあって、見入ってしまいました。
そこに、雲カルの写真とサインを加えてくださるというので、びっくりしてしまいました。
「テーブル板の裏側かなんかに貼られるんじゃありませんように」とメンバーで笑い合ったりしました。

当日のアンコールは:
http://www.ojihall.com/topics/encore.html

僕個人はあと、指揮の仕事が2つと、コレジオサックス四重奏団のリサイタルがあります。気を抜かずに仕上げたい。


コレジオサックス四重奏団第7回演奏会
http://www15.ocn.ne.jp/〜collegio/info.html

亜細亜大学吹奏楽団第40回定期演奏会
http://www2.asia-u.ac.jp/%7Eauwo/concert.htm

第24回サクソフォーン・フェスティバル
http://homepage2.nifty.com/jsajsa/festival2004.htm


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