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雲井雅人の「小言ばっかり」

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2005/04/29(金)  サイトウ・キネン・フェスティバル
今年の「サイトウ・キネン・フェスティバル 松本」からお呼びがかかりました。
曲は、武満徹「13人の奏者のための室内協奏曲」です。

テレビなどで観るあの音楽祭の雰囲気がとても好きで、いつか乗ってみたいとずっと思っていたのでした。
数年前、オネゲルの「火刑台上のジャンヌ・ダルク」が取り上げられたときは、勝手にスケジュールを全部空けて待っていたのですが、そのときはお呼びがかかりませんでした。

昨年は、林田選手がプロコフィエフの作品で乗りました。
彼から楽しげな雰囲気を聞き、うらやましかったものです。

武満作品は、わずか3分足らずの短い曲ですが、今からリハが楽しみです。
演奏の方ももちろんですが、参加者としてこのフェスティバルの雰囲気を十分に味わいたいと思っています。

武満 徹 メモリアルコンサート X
9月3日(土) 開演19:00 
松本市 ザ・ハーモニーホール


2005/04/26(火)  林田連載開始
林田選手、バンジャの「ワンポイント・レッスン」のコーナーで連載スタートした。
まずは、ゆるゆると始まったようであるが、これからが僕としても楽しみだ。

最近のカルテットのリハでは、僕が彼(および佐藤、西尾)から教わる場面が多いような気がする。
その内容は、僕自身が以前彼らを教えるときに言っていたことだったり、僕の言葉をより明確な表現にしたものだったり、あるいは、まったくオリジナルな考え方だったりさまざまだ。

それらのアドバイスが、いつも非常に分かりやすいので感心する。
文章でそれをどう表わすのか、興味があるのだ。

彼のブログ上に質問などすると、鋭い視点のオモロイ答えが返ってくるかもしれませぬぞよ。


2005/04/17(日)  Selected Duets
高校生の時、僕はサックスは独学で、専門の先生について習ってはいなかった。
3年生のときに、群馬県の榛名山で行われた吹奏楽のキャンプに参加したのと、福井県であった小さなクリニックに出ただけだった。

誰にもちゃんと習わず音大を受けて、当然のごとくすべった。
浪人してから、やっと先生に正式に習いはじめたのだ。
高校生まで、エチュードのたぐいはほとんどやったことなかったので苦労した。

と思っていたけど、最近そうでもなかったのかなということに気付いた。
高校のブラスの部室には、Voxman編の「Selected Duets for Saxophone」(Rubank版)という本があった。
この1,2巻を、先輩や後輩と一緒によくやっていた記憶がある。
これが知らないうちにとても勉強になっていたのだと思う。

音大に入ってもこれが置いてあったので、友だちとよくやったものだ。
近ごろ、受験生のレッスンでときどきこのデュエットを一緒にやるんだが、なぜかみんなヘタでねー。
むずかしいエチュードはできるのに、なんでこんな易しいのができないのかなーってあきれることがある。
聞けば、友だちとこういうのをほとんどやってないらしい。

この「Selected Duets for Saxophone」という本は良いです。
いろいろ凝った二重奏もあるにはあるが、僕はこれが好きだな。
エチュードだけやっているとつまらないだろうし、何か大切なことをなおざりにしている可能性もある。
音大を受験しようと考えている人は、ちょっとやってみたらどうだろう。
もちろん、高校のころの僕みたいに、ただ楽しいからという理由でやるのが一番だけどね。


2005/04/10(日)  「ナゴヤ サックス フェスタ 2005」終了
「ナゴヤ サックス フェスタ 2005」が終了しました。

今回の最大の収穫は、東海地区の若いプロ奏者からなるサックス・オーケストラが、非常にうまくいったということでした。
こんなこと言っちゃうとアレなんだけど、プロが集まってやるサックス・オケって、えてしてエグイ響きになりやすいんですよね。
それが、作品の再現の前に立ちはだかって、なかなか鑑賞というレベルに達しない憾みがあります。
「サックスってこんなにすごいんだぞー」って言って、終わりみたいな。
今回はそれはなくて、純粋に音楽として聴くことができたと思います。
それが当たり前じゃなくちゃいけないんだけど、そこに達するのはなかなか難しいのです。

アマチュア・サックス・オケは、曲が難しい、80人近い大人数、各楽器間の人数バランスがバラバラ、技術のレベルがバラバラなどの難問があるにもかかわらず、年々演奏が良くなってきて驚きです。
本番の演奏は、なんかものすごく「覇気」があって、グッと来るものがありました。
今後このエネルギーをどのようなムーブメントにして行くか、考えるべきなのかもしれません。

音大を卒業したばかりの「期待の若手演奏家たち」は、三者三様の音色の指向性を持って、ためらわずそれを追求しようとしていたところが好ましかったです。
学校のレッスン室を出て、これからはコワイ大人もいる前で演奏というお仕事をしなくてはならないわけですが、その助走をお手伝いできればいいと思っています。
大変でしょうが、頑張ってほしいです。

僕自身の演奏はというと、棒振ったり楽器吹いたりという中でとっ散らかっちゃって、やや不本意でありました。
修業が足りぬですね。
そのくせ、打ち上げでは盛り上がりすぎて、現在体調不良です。


2005/04/08(金)  ザ・サックス Vol.13
「ザ・サックス vol.13」には、心に触れる言葉がたくさんありました。

原博巳氏の
「モチベーションを保って練習しよう」の言葉。
いつも彼の文章を読むと、その的確な言葉の選び方が凄いと思う。

エレファント酒井氏の
「わがまま通さんと、おもろいことは起きてこない」の言葉。
記事の中で言ってることが、林田選手に似てるなー。

三木俊雄氏の
「せめて練習の時は『オレってこんなに冷たいヤツだったんだ』ぐらいに」の言葉。
僕もそうしたいんですー。

NAOH氏の
「一期一会」、「明日があると思うな」、「サックスは生涯かけて愛していくもの」の言葉。
潔いです!

特に三木氏へのインタビューでの
「力の限りやるしかない」
「世に問うていきたい」
には、グサッとやられてしまいました。

正直言って、僕はそう公言できるほどのことをしてきたかどうか自信はない。
音楽やる以前に、余計なものにまみれていないかどうか、妙に物分かりがよくなっていないか、自己点検したいと思わされた。
(ま、端的に言って、自分はかなりヤバイ状態だと思う。)

でも、本当に「モチベーションを保って」「おもろいこと」を「力の限りやる」しかないし、「生涯かけて」「世に問うていく」しかないんだと思う。


2005/04/06(水)  サックス吹き必聴!
この「小言ばっかり」の2003年8月19日に「 スタッカートがらみの雑記」と題して、僕はこんなことを書いている。
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●マルセル・ミュールの伝記を訳していて、「チェレプニンのソナチネ・スポルティヴは、もともとファゴットのための曲だったのを作曲家自身がサックス用に書き換えたのだ」という内容の記述を読んで、目から鱗が落ちたような気がした。
なぜなら、第3楽章のスタッカートのフレーズは、ファゴットのひょうきんで弾むようなスタッカートの表情そのものなのだから。試しに、ファゴット的に息を吹き分け気味にして奏すると、とても納得できる表現になるのだった。ついでに言えば、第1楽章も第2楽章も、ファゴット吹きになったつもりで吹くと、実に音楽に入りやすい。
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ミュールの伝記の中の記述というのは、次のようなくだりである。
「サクソフォーンとピアノのための作品で印象的なものは何か」というルソー氏の問いに、ミュールはこう答えている。

ミュール:これも、お答えするのは難しいことです。しかし、2、3曲のソナタがそれに該当するかも知れません。初期のものでは、確か1938年に作られた、ポール・クレストンの「ソナタ」です。そしてそれ以降のものには、1948年のクロード・パスカルの「ソナチネ」があります。また、アレクサンドル・チェレプニンの「ソナチネ・スポルティヴ」も挙げられますが、実はこれは編曲なのです。

ルソー:チェレプニンの「ソナチネ・スポルティヴ」は、サクソフォーンとピアノのために編曲されたものなのですか?

ミュール:そうです。元来は、この曲はバスーンのために書かれたものなのです。彼がバスーンとピアノのための譜面を完成させたのは、第二次世界大戦中のことでした。彼はラジオでたびたび私の演奏を聴いて、サクソフォーンが好きになっていたのです。そしてある日、彼は私を自宅に招き、その楽譜を見せてくれたのです。私がその曲を気に入ったので、彼はそれをサクソフォーンのために編曲しました。この作品は、その後出版されました。チェレプニンは、素敵なユーモアのセンスを持った魅力的な人物でした。
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工藤淳子さんというファゴット奏者が、このチェレプニンのソナチネを含んだCDをリリースしたので、さっそく買って聴いてみた(キングレコードKKCC-3008)。
オビには「ファゴット・レボリューション〜オリジナル秘曲集」とある。
「秘曲集」というのは、一昔前のレコードの売り文句っぽくて面白いので、僕もいつか出す自分のCDのために考えていたんだけど、先を越されたなーという感じですね。
サックスの曲は、結局どれもみな秘曲という説もあるが。
この曲や、リュエフの「シャンソンとパスピエ」、ランティエの「シシリエンヌ」、ボザの「アリア」、ビュッセールの小品なんかを入れたいと思っとります。

やっぱりいいですねー、ファゴットのスタッカートは。
この面白さをサックスで出すのは、並大抵のことじゃできない。
この作品の場合、作曲家が最初にイメージした楽器がファゴットだったということを、思い知らされてしまいました。
ファゴットには愛すべき「愚かさ」みたいな持って生まれた性格があって、ちょっとした音の振る舞いが、訴える力を持っている。
同じことをサックスがやろうとしても、「愚かさ」じゃなくて「小賢しさ」になってしまいそうなので、気をつけたい。
でも、好きな作品なので、いつか自分なりの表現でリサイタルに取り上げるつもりだ。

このCDは、チェレプニンの曲以外の演奏もどれもみんな良くて、僕の中の「ファゴット好き」な部分を満たしてくれたのでありました。


2005/04/05(火)  ナゴヤ盛り上がってます
今週の土曜日、名古屋で「ナゴヤ サックス フェスタ 2005」(事情により「フェスタ」なんて、そこだけイタリア語になっちょりますが・・・。東京の「サクソフォーン フェスティバル」に商標登録でもあるんかいな、まったく)を開催します。

僕は、合奏の指揮をやり、ソロでジョン・ウィリアムズ「エスカペイズ from キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」を吹き、服部さんとトリオで生野裕久「エンブレイサブル・ユー変奏曲」を演奏します。
ピアノ:服部真理子

名古屋のプロ・アマの交流、プロ同士、アマ同士の交流は、これまであまり盛んとは言えなかった。
僕の知る限り、「交流」「発展」という意味で、仙台のサックス界が、非常に円滑に機能していると思う。
サックス大好きな稚気あふるる「大人」が、組織を仕切ってんのが素晴らしい。
名古屋のサックス界も、将来そうなって行けばいいなと思ってます。
大合奏の熱い雰囲気からは、手応えを感じています。
若いプロも確実に育ってきているし、楽しみだ。


4月9日(土)
開場/11:30 開演/12:00
場所/名古屋市青少年文化センター アートピアホール
チケット:前売1,500円 当日2,000円

http://www.geocities.jp/nagoya_sax_festa/


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