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雲井雅人の「小言ばっかり」

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2005/08/28(日)  映画音楽
台風11号が関東方面に近づきつつあったころ、一泊二日で、山中湖畔のレコーディング・スタジオへ仕事に行ってきた。
スタジオに着いて音を出してみると、何だか馬鹿に調子が良くて、吹いていても楽しくってしょうがない。
ところがなんとなんと、あまりに激しい台風の雨音のためマイクがそれを拾ってしまい、一日目の録音はすべてNGになってしまった。
こんなこともあるのか。

ずぶ濡れになりながらスタジオから宿へ移動。
ずぶ濡れになりながらレストランへ移動。
またずぶ濡れになりながら宿へ。
一瞬でずぶ濡れ。
傘など意味なし。

二日目は「台風一過」で晴れ上がり、雄大な富士山を眺めながら、無事録音することができた。
ガーッと集中して、午前中だけで録り終えてしまった。
雲井選手、エライッ!
ピアニストもスタッフも、エライッ!
こんなこともあるのだ。

僕が吹いたのはいずれも映画音楽で、「ディア・ハンター」から「カヴァティーナ」、「ロミオとジュリエット」、「ニュー・シネマ・パラダイス」(このほかにサックス・デュオ+ピアノなども数曲)。
3曲とも僕が取り上げることを希望した曲で、得も言われぬ美しい音楽です。
特に「カヴァティーナ」のメロディーの美しさには、心が震える。
映画「ディア・ハンター」の内容は重く悲しいが、この音楽は信じられぬほど美しい。

昔から好きだった曲を、こういう形で録音できて良かった!
クラシックばかりでなく、自分のこういう面もたくさんの人に聴いてもらえるのが、すごく嬉しいです。
この録音は、音楽雑誌の付録CD(楽譜も付く)となって秋ごろ店頭に並ぶ予定です。

雑誌を見たら、僕はきっと台風11号のことを思い出すと思う。


2005/08/20(土)  メンバー、誌上でも活躍
雲カルメンバーが、誌上でも活躍してます。

西尾選手が、バンドジャーナル9月号でバリトン・サックスについて、かなり熱く語っているので、一読をお勧めします。
パイパーズでは、佐藤選手がオーティス・マーフィーと対談しています。
こちらも、とても興味深い内容です。
林田選手のバンドジャーナルの「ワンポイント・レッスン」も、相変わらず絶好調のようです。

みんな、いつの間に原稿書いてるんだろう?


2005/08/19(金)  大室先生の記事
「連載コーナー」に、大室勇一先生の記事【わが楽器を語る「サクソフォーンの真の音を求めて」】を追加しました。
今から32年前、先生が33歳の時の文章です。
今読んでも、内容はまったく古さを感じさせません。

先生の文章をワープロで書き写しながら、「そうそう、いつもこういうふうに分かりやすく自分の考えを相手に伝えようとする人だった」、「バランスのとれた価値観を持った人だった」と、思い出されてきます。


2005/08/18(木)  雲井門下合宿
8月14、15、16日の3日間にわたって、第6回(だと思う)の「雲井門下合宿」を行なった。
今回は、いつもの軽井沢から河口湖に場所を移しての開催だった。
参加人数は、講師(雲カルメンバー)やリペアマン(小田桐工房およびヤマハ東京アトリエという豪華布陣)を含めて、33名。
参加者は、愛知県立芸大、尚美学園大、尚美ディプロマコース、国立音大の4つの学校にわたる(卒業生も含む)。
国立音大は、今回が初の参加となる。

内容は、雲カル各メンバーによる個人レッスン、佐藤講師による恒例の「ジャズ講座」、林田講師による「管打楽器コンクール必勝法講座」、「雲カルリハーサル見学」、「オケスタ・コンクール」、「女装コンテスト」などである。
夜は宴会が催され、深夜まで語り合う姿がみられた。

「管打楽器コンクール必勝法講座」は、そのおいしそうなタイトルとは裏腹に、一つのフレーズに深く分け入って、「いかにして分かった上で吹くか」ということにこだわった内容であった。イベールのパート譜にして2段ぐらいを、時間をかけて受講者とともに掘り下げたのだった。

「オケスタ・コンクール」は、1次、2次、本選と分かれており、1次予選課題曲はムソルグスキーの「展覧会の絵」から「古城」、2次予選はビゼーの「アルルの女第2組曲」から「間奏曲」、本選はハチャトゥリアンの「ガイーヌ」から「剣の舞」であった。
本選は「クモイキネンサックスオーケストラ」の伴奏で行われた。
審査は、雲カルの4名が行なった。
結果は、参加者27名中、1次予選通過者6名、2次予選通過者3名で、1位なしの2位に国立音大の学生が選ばれ、賞金2700円をゲットした。
ちなみにこの彼は、2003年07月27日付けの「小言ばっかり」で僕が書くところの「5分君」であることを特に記す。

1次予選の全般的な感想:通過できなかった原因は、【最初のド-ファがかなり雑。拍節感が弱い。フレーズ感が弱い。音程感が弱い。レガートが途切れる。お定まりの真中のレ♭が低い。最後のディミニュエンドが不満足。ここ一番の集中力に欠ける】など。
充分に準備してきた者、ミスがなかった者、よく響く音を持った者が通った。

2次予選の全般的な感想:通過できなかった原因は、【音楽が流れない。レガートが途切れる。リードのウォーター・ノイズ。お定まりの真中のレが高い】など。
ミスがなかった者、集中力の感じられる音と歌を表現できた者が通った。

本選は、サックスオケの中で演奏してもらったのだが、作品のスタイルにふさわしくない軟弱な演奏が目立った。リハなし本番一発だったのは少し気の毒だったかもしれないが、全員守りの演奏に終始したのは残念だった。結果発表後の審査講評において、林田講師による模範演奏が行なわれたが、その差には参加者一同愕然となった。

今回初めて企画された「女装コンテスト」は、予想どおり異様な盛り上がりを見せたが、詳しい内容についてはここでは触れない。

この合宿の良いところは、大学のレッスン室でいつも僕からガミガミ、ネチネチ言われていることを、雲カルの他のメンバーが違う角度から教えてくれることであろう。
また、参加者たちの通う学校がさまざまでも、ある共通の価値観を持って演奏に臨んでいることを、門下生同士お互いに再確認できるところであろう。
講師陣としては、おのれの価値観を全開にして、自分として「普通」「良い趣味」と思われることを、忌憚なく伝えることができる点である。

前回の合宿あたりからうすうす感じていたことがあるのだが、今回それがはっきりした。
「雲井門下合宿」を主宰しているのは、ほかならぬこの僕だが、主宰していると同時に自分も雲井門下生であるような不思議な感覚が、この合宿で生じているということだ。
学生による自発的な企画運営がなされるようになってきたこと、僕以外の雲カルメンバーが講師として非常に頼もしいことなどが、その原因として考えられる。
僕自身も勉強になった合宿であった。


2005/08/14(日)  アンケート
リンクしている、マネジメント会社レックスのサイトの「アーティスト情報」のコーナーで、僕がアンケートに答えています。
ご覧になってみてください。

http://www.keller.co.jp/rex/artist.html


2005/08/13(土)  やっとこさ
やっと、やっとこさ、雲カルの新しいCD「チェンバー・シンフォニー」発売のめどが立ちました。
ブックレットのデザインが上がってきて、CDナンバーも決まり、いよいよ発売が現実のものとなってきました。
半年ほど前から「出る出る」と言い続けてきて、なかなか本決まりにならなかったのですが、今度こそ本当です。
もうじき雑誌等で、広告が出ると思います。
デザインは、かなりカッコよくて気に入っています。
早く皆さんに見ていただきたい、聴いていただきたい気持ちでいっぱいです。

●収録曲
■ウォルフガング・アマデウス・ モーツァルト/arr.雲井雅人:3つの教会ソナタ(1770〜1780頃)
 1. アレグロ K.68
 2. アンダンテ K.67
 3. アレグロ K.336

■デヴィッド・ケックレー:ステッピング・アウト(1989)
 1. ミニマム・オーバードライブ
 2. ミッドナイト・リフレクション
 3. アノニムス
 4. イージー・バーデン

■アンドリュー・スティラー:チェンバー・シンフォニー(1983)
 1. アレグロ
 2. 「安息の地」〜荘重かつ儀式的に
 3. 荒っぽいメヌエット
 4. プレスト

■アントニオ・ヴィヴァルディ/arr.林田和之:まことの安らぎはこの世にはなく


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