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雲井雅人の「小言ばっかり」

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2007/05/04(金)  グラズノフ
雲カルの定期が近づいてきました。
まだお席に余裕がございますので、ぜひご来場ください。

雲井雅人サックス四重奏団 第6回定期演奏会
2007年5月7日(月) 19:00開演 (18:30開場)
東京文化会館 小ホール
全席自由 ¥4000


グラズノフを雲カルとしては初めて取り上げます。
協奏曲ほどなじみはないもの、やはり名曲です。
練習すればするほど、深みが出て楽しくなってきます。


グラズノフ(1865-1936)はその生涯の晩年に、サクソフォーンのための作品を二つ残してくれた。そのひとつがこの「サクソフォーン四重奏曲」(1932)である(もう一つは1936年の「協奏曲」)。生活の困窮、健康状態の悪化、創作意欲の減退、ふるさとロシアへの思い(健康上の理由で滞在先のパリから離れられないでいた。結局パリにて客死)などでふさぎ込みがちだったグラズノフに、サクソフォーンという楽器が新たなインスピレーションを与えた。嬉々として作曲にいそしむ様子が彼の手紙に残されている。
「サクソフォーンのための四重奏曲を書こうと思っている。この楽器は際立って聴き取りやすい音を持っている。オーケストラでは、他の木管楽器群をほとんど覆ってしまうほどだ。ギャルド・レピュブリケーヌには、すごいサクソフォーンのソリストがいる」、「以前は弦楽四重奏しか書いたことがなかったから、この曲の目新しさは私を本当にドキドキさせる。どのような響きがするのだろう」。
また、マルセル・ミュールらのギャルド・レピュブリケーヌ四重奏団によるこの作品の試演に立ち合い、その演奏に対し感嘆の意を表している。
「演奏者たちは非常な名人ぞろいで、これがジャズで聴かれる同じ楽器だとは到底思われない。私が心から感銘を受けたのは、彼らの息づかいと疲れを知らぬ体力、軽やかな響き、そして明快なイントネーションだ」。
1930年代は、サクソフォーンのための名曲が次々に生まれた時代だ。それらの多くに関わったミュールとラッシャーの功績は絶大なものがある。また、それらの作品が難曲ぞろいであることも注目される。そのことは、新しくクラシック音楽の世界に登場したこの楽器に対する、当時の作曲家たちの期待がいかに大きかったかの証明とも思われるのだ。晩年のグラズノフがサクソフォーン四重奏という合奏形体に、どれほどの夢を託したのかに思いを馳せながら、この曲を演奏したい。


アレクサンドル・グラズノフ : サクソフォーン四重奏曲 Op.109
   I. アレグロ、ピウ・モッソ
   II. カンツォーナ変奏曲
     主題-アンダンテ
     第1変奏-同じ速さで
     第2変奏-活気を持って
     第3変奏-シューマン風、グラーヴェ
     第4変奏-ショパン風、アレグレット
     第5変奏-スケルツォ、プレスト
   III. 終章 アレグロ・モデラート、ピウ・モッソ


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